平凡日誌

Webショップ「平凡」店主の日々の記録です。

冬→春→冬→春

最近はずっと里見八犬伝を読んでいる。仕事もしながらだし、さすが30年連載されてただけあって長いし、なかなか進まない。でも読みはじめるといつも止まらなくなってずっと読んでしまう。

数話ごとに必ず人が死ぬ。だいたい一回に5人は死ぬ。戦の場面だと何十人も死ぬ。斬られたり、首が飛んだり、うっかり殺されたり、自ら志願したり。今日の朝も5人死んだ。こういう内容、今出したら不謹慎だ!とかなるんだろうか。命を軽く扱ってる!とかさ。まぁでも命ってなんなんでしょうかね、と思うし。きっとそれだけ身近に死があった時代だったから、特別でもなんでもなかったんじゃないかなぁという気がする。すぐ隣に死があるからこそ、エンタメとして気軽に扱えるというか。大事なことは目には見えないから、こうして自分の肌で感じることが大切なのだなと思う。

誰かのなんか良さげな意見より、昔の人もこうやって読みながらハラハラしたり、驚いたり、涙を流したりしたんだなぁというこの私の感覚だけが大事。皆生きていたんだなぁという実感。そして皆結局は死ぬんだ。今はただその間のあれこれ。時代が変わっても、感じる心は同じなんだという嬉しさ。当時面白いと思われた作品を、私も面白いと感じたことで、見えない人達と繋がれた気がする嬉しさ。

今日あたり、メルカリで買った明治版の里見八犬伝が届きそうでとてもワクワクする。ワクワクしすぎて胸が張り裂けそう。いつか江戸版を大人買いする日まで、にやにやしてそれを開きたいと思っている。