平凡日誌

Webショップ「平凡」店主の日々の記録です。

暖かい

私には霊感はない。しかし、仕事先には絶対にいると感じる出来事に沢山遭遇したのでぜったいにいる。そのせいもあるのか、毎回大量の人が来る空間に身を置いているせいか、春になるからか、気分がどんよりしてしまってここ数日がとくに激しかった。

昨日いつも通りに朝家を出て仕事に向かう道中、たまに利用するコンビニに入った。そこは朝、体の大きいインド人の男の子がレジをやっていて、厨房担当のおばさんが1人いるというようなシフト。その日も男の子が1人レジで、のんびりしたおばちゃんがお惣菜を品出ししていた。

先にレジをしている人がいたので、順番を待とうとすると横からおばさんが割り込んできた。仕事柄、おばさん嫌悪が甚だしくなっている私は、イラっとして声をかけようかと思ったが、まぁ時間あるしいいかと心で舌打ちをするにとどめた。なかなかレジが終わらず、前のおばさんは明らかにイライラしていたが、奥から品出しのためちょこちょこ顔を出すおばちゃんはやはりのんびりしている。

先にお会計をしている女の人の背中に乗るんじゃないかというぐらいの距離まで前のおばさんが近付いたとき、レジが終わり、タイミングよくおばちゃんもレジに入った。おばさん嫌悪の私は少し恐怖心を抱きながら、おばちゃんのレジへ。

カフェラテを頼むと、おばちゃんはカップにスリーブを着けた。いらないので断ると「でも熱いでしょ?」と自然に聞いてくる。まるで小さい頃から知っている近所のおばちゃんの様に。予想外の流れに戸惑いつつ「それつけると車の飲み物いれに入らないんです」と笑って言う。「そうなのね~」とおばちゃんも笑うと、急に「チョコいる?」とポッケからパンダ柄の小さなチョコを出した。予想外の展開に戸惑うも受け取ると「ありがとね~」と笑うおばちゃん。小さい頃、親と出掛けた先で知らないおばちゃんからお菓子をもらった時のような、なんだか自分が子供になったような気持ちでお礼を言って外に出た。

人間に疲れきった私に神様が天使を送り込んできたかのようで、ささくれた心にしみてしみて、運転しながらちょっと泣いた。あのまま割り込みおばさんにイライラして声をかけて順番が先になっていたら、その一瞬のイライラはすっきりしたかもしれないが、この展開には巡り合えなかったんだと思うと、自分の思い通りにしたくなったり、得をしようとしたり、自力でどうこうしようなんてことはちっぽけでつまらないことだと感じた。

コンビニでカフェラテ買ったらパンダのチョコもらえるって、誰が予想できただろう。そういう人生の面白さをすっかり忘れていた。まぁ、仕事先のトイレのドアノブが内側からぼろっと取れて閉じ込められるなんてことも、誰も予想できはしないけど、思いもしない嬉しい驚きが訪れることを塞き止めないように、リラックスして自分を開いて生きていきたい、と感じた出来事だった。