平凡日誌

Webショップ「平凡」店主の日々の記録です。

暑い

青森から帰ってきて、茨城の暑さに驚く。暑すぎる。冬に雪が降らないのだから仕方がないか。もう、海が恋しい。

今、猛烈にはまっているのが、岡本綺堂『半七捕物帳』。元々小説が得意じゃないのだが、昔から読めていたのがミステリー物。そこに江戸がかけ合わさったらはまらない訳がない。存在は知ってたのに、何故今まで読んでこなかったのか!

旅の間ずっと読んでて、持ってきた本が読み終わっちゃったから青森の本屋で買ってしまった。同じ話も入ってるのに、何回読んでも面白い。とにかく、半七が格好いいのだ!

そして、自分にとっての新たな幸せを発見。夕暮れ時に、ちびちび日本酒を飲みながら半七を読む。つまみは佃煮とか漬物とか、そんな簡単なやつでいい。堪らないねぇ!最高だねぇ!近所に、本読むための飲み屋なんかあったら本当に最高なのに。食べ物なんて簡単でいいから、ゆっくり、じっくり、一人で過ごせる店。

店の人とか、常連とかから話しかけられて仲良くなって…ってのも楽しいんだろうけど、私にとっての飲み屋はそれじゃないなぁ!ということが今回分かった。そんな店ないかな。ほっといてくれて、常連も絡んでこなくて、ワイワイしてなくて、それぞれがそれぞれの時間を楽しんでて、さらっと入ってさらっと出られる店。

あぁ、半七。男に生まれ変われるなら半七になりたい。

今回の青森では棟方志功記念館にも行ったんだが(ちょうど棟方志功の命日だったという奇跡)、「わだばゴッホになる」っていう言葉は前から知ってたけど、青森の人の訛りを直に聞いていたら、その棟方志功の言葉が、文字としてではなく声としてすっと体に入った感じがして面白かった。

そして、奈良を始め心地いいなぁと感じる土地に共通するのが、人間の力ではどうにもならないこと(進みたい道に鹿が群れてるとか、視界にいつも富士山がいるとか、猛烈に雪が降るとか)が日常にある土地の空気だということが分かった。それは一種の諦めなのかもしれないけど、なんとなく、ドーーンとしてる感じがする。とてつもない語彙力。ドーーン、としている土地と、そこに住まう人達の空気が好きだ。