平凡日誌

Webショップ「平凡」店主の日々の記録です。

夕暮れっていいもんだ

東京の、年内で宿泊が一旦終わってしまうらしい、とある古い歴史的建築のホテルの部屋が奇跡的に一部屋予約できたので、それだけのために東京へ。なんと宿から歩いてすぐが江戸城のお堀!なんという贅沢な環境!

夕方チェックインしてすぐお堀まで散歩。帰宅するサラリーマンやランニングする人々(私はこの種類の人間が苦手である)を横目に、なんともいい景色のベンチに腰掛ける。目の前にお堀と石垣と門の橋と夕焼け。30分ほどただぼーっと眺めながら過ごす。お堀の水面が一秒も同じ色がない夕焼けを映し出す。空には半月。水面に浮かんでは消える波紋を見ると、だんだん周りの音が遠ざかり、自分も無くなり、虫の声だけに包まれ、時間が止まったようになる。

なんとも言葉にできない時間だったけれど、その時に感じたのは、物事の美しさとか本当の部分とか本当に大事なことというのは、じっと静かに動かず耳を澄まして目を凝らしていないと本当には分からないということ。じっと静かに注意深く見れば、全部に美しさがあるということ。なんと気を逸らす物事が多いことか。お堀の水面をぼんやりと、でも注意深く波紋を追いながら眺めているように、目に映るものを見ていきたいと思った。