平凡日誌

Webショップ「平凡」店主の日々の記録です。

風が凄い

やっぱり山口百恵格好いいなぁ、と思って、一番好きな「さよならの向こう側」を聴いていて思い出したこと。

10代か20代か、初めてのひとり旅で京都に行った。銀閣寺か清水寺か忘れたけど、連なるお土産通りで一軒の店に入る。

古い着物の端切れが沢山箪笥に入って売られていて、夢中で見ていた。奥の方で店主の気配はあり、お客は他に誰もいない。
と、奥から店主のおばさんが出てきて話しかけてきた。

「更年期で毎日辛くて普段は寝てるんだけど、今日は気分がいいから特別に何か一曲弾いてあげる」

店には一台のピアノがあり、おばさんはその前に座る。私は突然の展開に驚きながらも、山口百恵さよならの向こう側をリクエストした。

山口百恵しばりだったのか、私がさよならの向こう側にハマっていたのか。おばさんは歌ったのか歌わなかったのか。何も覚えてないけれど、「私も大好きな曲だ」とおばさんが言ったことは覚えている。

そして旅の帰路、もう今では面影もなくなった昔の京都駅の通路の窓から、大きな大きな虹が見えた。

ことあるごとに、ふと思い出す出来事。思い出す度に、キラッと光る宝物。これがあったから、私はひとり旅が好きになったのかもしれない。